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季節の健康コラム

大人も注意したい『風疹(ふうしん)』
大人も注意したい『風疹(ふうしん)』

杏林大学医学部付属病院医師
植地 貴弘さん

感染力が非常に強い「風疹」

そろそろインフルエンザの流行期も終わりに近づいてきました。インフルエンザは1人の患者から免疫がない1〜2人に感染させる力がありますが、もっと感染力が強い病気が、春先から初夏にかけて流行することをご存じですか?それが、「風疹」です。1人の患者から免疫がない5〜7人に感染させる可能性があります。
風疹は風疹ウイルスにより感染し、発熱、発疹、リンパ節のはれなどが生じますが、感染しても症状が出ない人もおり、症状が軽くて気づかない場合もあります。一度感染すると免疫ができ、その後、風疹にかかることはないとされています。

爆発的に増えた風疹患者

大流行した2013年には、20~40代の男性を中心に、大人の間で感染が広がりました。予防接種の制度が時代とともに変わり、接種率が低い世代が存在するからです。特に1962~1989年生まれの男性、1979~1989年生まれの女性は、免疫を持たない割合が高いので、注意が必要です。

風疹の累計患者数
大人の風疹が赤ちゃんに影響

妊娠中、特に初期に風疹にかかると、赤ちゃんの目、耳、心臓などに障がいが起こる「先天性風疹症候群」になる危険性があります。妊娠中は予防接種を受けることができないため、妊娠する2か月以上前に予防接種を受けておくことが重要です。 2015年3月末まで、多くの自治体で、主として妊娠を希望する女性を対象に、風疹の抗体検査を無料で実施しています。お住まいの地域の保健所などに相談してみましょう。大人の予防接種は原則的に自己負担となり、およそ1万円以内※です。自治体によっては費用の助成を行っている場合もあります。生まれてくる赤ちゃんのためにも、周囲の人々も予防接種の受診に努めましょう。

※費用は医療機関により異なります。