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季節の健康コラム

「インフルエンザ」
「インフルエンザ」

杏林大学医学部付属病院医師
植地 貴弘さん

⑪月頃から発生

突如として発生し、瞬く間に広がって、数か月のうちに消えていく、咳と高熱の流行性疾患の記録は古代ギリシアの医師・ヒポクラテスの時代(紀元前4世紀)からあったと言われています。
周期的に流行が現れてくることから、ルネッサンス時代のイタリアの占星家たちは、これを星や寒気の影響によるものと考え、イタリア語で“影響”という意味の「influenza」と名づけたそうです。日本においても、平安時代からその記録は残っており、かつては「流行性感冒」と言われていました。
突然現れるインフルエンザは、狭い地域からより広い地域に、国境を越えてあっという間に広がっていき、北半球での流行とともに、日本でも毎年11月下旬頃から発生が始まり、翌年の1月頃にピークを迎え、5月近くまで流行します。

予防接種が有効

世界中で猛威を振るうインフルエンザは、その規模と影響から社会的損失も大きいため、予防接種で発症を防ぐのが重要と言われています。海外の研究によると、労働者において予防接種を受けた人は、受けない人に比べ、インフルエンザによる欠勤期間が短いという結果も出ています。
これまでの予防接種では、近年流行している4種類のうち、A型の2種類と、より流行すると考えられるB型2種類のうち、どちらか1種類の計3種類に対応したワクチンを接種していましたが、実際には、残りのB型1種も流行しており、世界中で問題となっていました。そこで、WHOも2013年シーズンから4種類の混合ワクチンの接種を推奨しており、日本でも2015年度から4種類のインフルエンザに対応したワクチンの接種がスタートしました。
ワクチンの接種から効果が出るまでは2週間ほどかかるので、予防接種がまだという方は、お急ぎください。

【インフルエンザとかぜの主な違い】

  インフルエンザ かぜ
発熱 38度以上 微熱
症状 かぜの症状に加え、発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感など のどの痛み、咳、鼻水など
発症 急激 ゆっくり
流行の時期 11月下旬~5月頃 年間を通じて

※かぜと思われる症状でも、インフルエンザの場合があります。流行の時期は、早めに医師による診察を受けてください。