季節の特集

特集・秋のくらしの森

季節の健康コラム

「日焼け」
「日焼け」

杏林大学医学部付属病院医師
植地 貴弘さん

日焼けと「光老化」

真夏の暑さも徐々に和らぎ、紅葉狩りにレジャーにと、外出が増える秋。「秋は日差しも強くないし、もう日焼けの心配もないわ」と、お出かけする前に、知っておきたいことがあります。
 日焼けと言えば、紫外線により皮膚が赤くなり、その後黒くなるという疾患を思い浮かべる方が多いと思います。最近は、これらに加えて、慢性的な日焼けによる皮膚の「光老化」が注目されているのです。
 通常、年齢と共にシミやしわが増え、皮膚にはイボ状の変化が見られます。しかし、その要因は、加齢という要素だけでは説明がつきません。普段日に当たらない、太股の内側を見てみて下さい。色が白く柔らかで、細かいしわはあっても、深いしわはないはずです。
 加齢による老化では、皮膚の厚さや色味が薄くなりますが、日光などを浴びることで起こる光老化では、皮膚は厚くゴワゴワになり、色味も濃くなります。それがシミ、しわとなって現れるのです。この光老化は、加齢による老化に、さらに上乗せする形で起こります。

将来のシミ、しわを防ぐ

光老化については、紫外線に比べてより大量に日光に含まれる「可視光線」や「近赤外線」が大きく影響していると言われています。
 特に、日焼けをしても皮膚が赤くならずに黒くなる人や、地黒の人においては、紫外線よりも可視光線によってできたシミの方が、より黒く持続的であることが、明らかになっています。
 これらの研究成果を受け、最近の日焼け止めクリームには、近赤外線を防ぐ成分を含む商品が増えてきました。また、紫外線だけでなく、可視光線や近赤外線を100%通さない生地を使った日傘なども販売されています。
 夏に限らず、継続して太陽の光を浴びることで、皮膚は多大な影響を受けます。日差しが弱る秋といえども、日焼けには十分に気をつけなければいけません。それが、将来のシミ、しわの予防につながるのです。

太陽光の内訳