季節の特集

特集・冬のくらしの森

季節の健康コラム

「睡眠」
「睡眠」

学校法人 杏林学園 産業医医学博士
植地 貴弘さん

多くの人が抱える睡眠障害

気温が急激に下がり、日照時間も減少するなど、環境が変化する冬は、身体のリズムが乱れ睡眠の質が低下したり、睡眠障害で悩む方が増える傾向にあります。
睡眠障害は、大きく①3ヶ月以内で睡眠障害が改善する短期型 ②週3回以上の睡眠障害が最低3ヶ月以上続く慢性期型 ③それ以下の3タイプに分けられます。
いずれも、「夜に軽度の興奮状態になりスムーズに入眠ができない」「入眠後も頻繁に目が覚める」といった症状が見られます。眠りが不安定だと、睡眠時間の内およそ85%にあたる時間しか身体は休めていません。その結果、疲れがとれず日中に眠くなったり、仕事や家事で力を発揮できなくなってしまいます。
生活に深く結びつく睡眠に関する相談は非常に多く、ある調査では実に35〜50%もの人が不眠を経験したことがあると答え、その中には睡眠障害の方も多く含まれていました。こうした睡眠障害の対処方法と言えば、まず睡眠薬などの薬物療法を想像される方が多いのではないでしょうか。
しかし最近では、生活習慣を改めることで薬に頼らず自然と睡眠障害を克服する「行動療法」が有効であると言われているのです。

行動療法で快眠を

行動療法の具体例としては、まずカフェイン・アルコールを摂らないことが挙げられます。例えばカフェインは、高齢になるほど分解に時間がかかります。中には日中に飲んだコーヒーが夜まで影響し、不眠の原因となる場合もあります。これらの成分は、寝る時間から数時間は空けて摂取するようにしましょう。
次に、寝る際の注意点としては 「寝床には眠くなってから行く」ことが大切です。布団に入ってから20分程度眠れなかった場合は、もう一度布団から出て眠くなるのを待ちましょう。寝つけないままいつまでも布団にいると「どうして眠れないんだろう」「早く寝ないと」といった、不安やいらだちで精神的にも悪影響を及ぼし、余計に眠れなくなってしまいます。
他にも「うたた寝しない」「日中の軽度の運動で睡眠の質を良くする」のも有効です。生活に簡単に取り入れられ、快眠に効果的な行動療法を是非実践してみてください。

【すぐに取り入れたい行動療法】

●カフェインなど睡眠を妨げる成分の摂取を避ける
●20分程寝つけない場合はベッドから出る
●日中に昼寝はせず、決まった時間に就寝する
●就寝時間の6時間前を目安に定期的に運動する