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季節の健康コラム

「いびきと睡眠時 無呼吸症候群」
「いびきと睡眠時 無呼吸症候群」

学校法人 杏林学園 産業医 医学博士
植地 貴弘さん

気がつきにくい睡眠時無呼吸症候群

夜のいびきの音が人よりも大きかったり、いびきが途中で止まることがある方は、もし かしたら睡眠時無呼吸症候群(Sleep ApneaSyndrome :SAS)かもしれません。
SASは、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。医学的には、「10秒以上の気道の空気の流れが止まった状態」を無呼吸とし、無呼吸状態が7時間の睡眠時間中に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あればSASとされています。
睡眠中の無呼吸は自分ではなかなか気づくことができないため、多くの潜在患者がいると推計されています。
日本での患者数はおよそ400万人と見られており、アメリカでは30 歳から60 歳の男性で24%、女性で9%の人がSASであることが明らかとなっています。

様々な健康リスクを引き起こす可能性も

SASになると、いびきはもちろんですが、日中の眠気、知性の低下、性格の変化などの慢性的な症状が出てきます。また、交通事故や労働災害のリスクが増加したり、高血圧が合併したり、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病のリスクが上昇するだけでなく、寿命も短くなることが知られています。
SASは、ほとんどが上気道のスペースが狭くなる閉塞性タイプで、要因としては、首・喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大のほか、舌根などによる喉・上気道の狭窄が挙げられます。
肥満の人はダイエットで治りますが、日本人は顎が小さい人も多く、経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法という、呼吸器をつけての治療法を行う場合が多くあります。
実際にCPAP 療法をすることで、多くの人が日中における眠気の減少と生活の質の向上を実感しており、ほかにも、自動車による事故が減少したり、上述した合併症が減少することも明らかになっています。気になる方は、自宅でできる簡易検査をおススメします。

多くあてはまる方は要注意!! SASチェックリスト SASチェックリスト