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医学博士
植地 貴弘さん
残尿感や頻尿がしばらく続いたことのある方も多いのではないでしょうか?今回はこのような症状を呈する「膀胱炎」について解説します。
膀胱炎は尿路感染症の1つで、症状の経過から急性と慢性に分類されます。さらに、基礎疾患がない単純性と基礎疾患がある複雑性に分類されます。また、膀胱炎で発熱を伴うことはなく、発熱が伴う場合は、膀胱炎が進行した腎盂腎炎や、前立腺炎など、他の病気を考える必要があります。
尿路感染症は女性に多い病気です。その理由は、女性は男性に比べ外尿道口から膀胱までの距離が短く、3 ~ 4cmしかありません。また尿道が男性に比べて太く、肛門に近い位置に外尿道口があるため、外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。そのため、16歳以上の女性のうち、37%が尿路感染症に感染したことがあるといわれています。また表の通り、特に17 ~ 39歳の若年層に多く、そのほとんどが単純性膀胱炎といわれています。
膀胱炎の症状は、頻尿、残尿感、排尿時痛などで、一度罹患したことのある方は、再発を繰り返しやすいといわれています。
単純性膀胱炎の治療は、抗生剤の内服が基本です。水分を多く摂取することで自然治癒することもありますが、高齢の方の場合は、細菌が尿路に残存し再発することが多く、きちんと治療をする必要があります。
治療のタイミングが遅れ、膀胱炎の症状が続いた場合は発熱を伴う場合があります。これは腎臓までの尿路の逆行性感染によって引き起こされる腎盂腎炎です。腎盂腎炎から致死的である敗血症に至るケースも多く、全敗血症のうち25%が尿路感染症が原因といわれています。そのため、「膀胱炎かも…」と思ったら、早めにかかりつけの内科や泌尿器科などで受診することが大切です。
膀胱炎は生活習慣で予防できるといわれています。尿意を我慢しすぎない。水分をこまめに取る。排便後は前から後ろに拭く。寝る前に排尿する(特に性行為後)。まずはこういった生活習慣から改善していきましょう。
■尿路感染症 年代別年間推定発生率
年齢 | 年間推定発生率 |
---|---|
乳児期 | 2.1% |
小児期 | 3.0% |
17-39歳 | 15.2% |
40-59歳 | 11.4% |
60-79歳 | 9.7% |