日々の暮らしに欠かすことのできないエネルギー
「LPガス」について分かりやすくご説明します。
LPガスの基礎知識
LPガスとは
正式にはLiquefied Petroleum Gas、日本では略してLPガス(LPG)と呼んでいます。
Liquefied(液化)、Petroleum(石油)の頭文字にGas(ガス)をカタカナで加えた言葉です。
正確な日本語表記は液化石油ガスとなります。
LPガスはプロパン(C3H8)とブタン(C4H10)を主成分とする炭素と水素の化合物で、常温かつ通常の気圧の元では気体です。
ただし圧力を加えたり冷却することによって簡単に液体に変化させることができます。
冷却することによって液化する温度は成分によって異なり、プロパンで-42℃、ブタンで-0.5℃です。
そのほかの気体と比較し、冷やして液化させるのは比較的簡単です。
なぜLPガスを液化させる必要があるのでしょうか。
その秘密は体積の変化にあります。
LPガスを、液体にすると気体の時の体積の約250分の1になるという特徴がありますので、驚くほど輸送や保管の効率がよくなります。
液体のまま皆様のご家庭に運び、気体にもどしてから利用します。
LPガスといえばご家庭のキッチンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実はキッチン以外のさまざまなシーンでLPガスは利用されています。
ガスコンロ用のカセットボンベ、ライター、スプレーなどにも、液体から気体へ、気体から液体への変化が容易な特性を生かして利用されており持ち運びに便利な商品となっています。
現在日本で使われているLPガスは、海外から輸入されるLPガス(約4分の3)と国内で生産されるLPガス(約4分の1)を利用しています。
輸入LPガスは、主に中東地域などにおいて原油や天然ガスの生産に随伴して作られています。
国内で生産されるLPガスは石油を精製して生産されています。
LPガスはご家庭向けに供給されるほか、商店や工場などで利用されるほか、タクシーなどLPガス自動車でも利用されています。
身近にあるLPガス
私たちの毎日の暮らしの中でもLPガスは身近なところで活躍しています。
皆様のご家庭のキッチンやお風呂などはもとより、キャンプやバーベキューなどアウトドアライフに欠かすことのできないカセットコンロ、このカセットコンロ用のガスもLPガスなのです。
さらにガスライター、噴霧助剤などでも利用されています。
また熱気球、オリンピックの聖火、やさしい光で道路を照らすガス灯、道路工事でのアスファルトの加熱工事現場を支えるLPガス投光器、悪臭の除去、屋外用蚊取り装置など本当にさまざまなシーンで私たちの暮らしを支えてくれています。
また目に見えないところでもLPガスは活躍をしています。
LPガスは、クリーンで高カロリーなエネルギーのため食品加工用、塗装乾燥用、樹脂加工用、窯業用などの工業用の熱エネルギーとしても盛んに利用されています。
レストランなどの厨房機器のエネルギーとして利用されるのはもちろんのこと、あるいは空調用として、GHP(ガスヒートポンプ)も大いに利用され始めています。
工業だけではなく農水産業でもLPガスは活躍しています。
果物や花などのハウス栽培の加温や炭酸ガス供給、お茶の葉の乾燥や、家畜舎の暖房などにも使用されています。
環境に優しいLPガス
LPガスは地球の環境に対してクリーンエネルギーとしてもとてもすぐれているのです。
LPガスには…
- 燃焼するとき排出するCO2の量が、石油や石炭に比べて非常に少ない
- 硫黄分をほとんど含まないうえ、窒素も含まれていない
- 燃焼時にススや灰分を出さない
- LPガスを利用することによるオゾン層破壊の心配がほとんどない
などの環境に対する特徴があります。
LPガスは地球の環境破壊に関する問題を最も早期に解決・緩和できるとエネルギーとして期待されています。
またLPガスは、その体積あたりの総発熱量が高く高効率なのも特徴に上げられ、環境に与える影響を最小限に食い止めています。
このようにハイパワーで高品質なガス体エネルギーであるLPガスは日本人には最も身近にあるエネルギーであり、最も期待されているエネルギーなのです。
災害に強いLPガス
LPガスは災害に強いエネルギーとしても期待されています。
平成7年1月17日未明に起きた阪神淡路大震災は数多くの方の命を奪い、倒壊・消失した建物や施設の数や被害金額など戦後最大の被害をもたらしたと言われています。
大都市における地震災害、さらにはそれに起因した火災などの恐ろしさを改めて見せつけました。
阪神淡路大震災発生直後から都市ガスのライン網はいたるところで寸断されてしまいました。
このような中、新たなライフラインを確保し都市ガスをバックアップしたのはLPガスや石油製品でした。
LPガス業界の対応は非常に迅速で実質約10日間という短期間でガス供給を復旧させたのです。
これにより、二次災害・三次災害を防ぐことができたほか、仮設住宅へのガス供給を行うなど、復旧に大きく貢献することができました。
LPガスが防災という観点から不可欠なエネルギーであることを証明することができました。
さらに、阪神淡路大震災においては、地震そのものの被害のほか火災が予想以上に被害を拡大しました。
火災による被害も甚大であった神戸市内では175件の地震に関連する火災が発生しました。
このような状況の中、LPガスを原因とする火災はありませんでした。
LPガス容器の元栓を閉じれば、かなりの確立で二次災害の発生を防ぐことが可能だからです。
このようにLPガスは災害にも強いエネルギーとして注目を集めています。
ハイパワーなLPガス
LPガスは火力が強いことも自慢の一つなのです。
体積あたりの総発熱量をそのほかのエネルギーと比較してみるとLPガスの火力の強さが際立って高いことがよくわかります。
同じガスの仲間である天然ガスと比較するとプロパンは約2.5倍、ブタンは約3.3倍と非常に高いエネルギーを持っています。
LPガスは環境によいことと併せハイパワーで高品質なガス体エネルギーなのです。
総発熱量が高いということは効率がよく地球環境にとてもやさしいエネルギーということになります。