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医学博士
植地 貴弘さん
高齢化社会を迎えている日本では、平均寿命が約80歳を超え、運動器の障害によって日常生活に支援や介護を必要とする方が増加しています。実際に、要介護状態となる原因として大きな割合を占めているのが、運動器の障害としてまとめられる「衰弱」「骨折・転倒」「関節疾患」です。このことから、運動器障害の予防は、健康寿命を延ばすための秘けつになるといわれています。
日本整形外科学会は2007年に「運動器は加齢や疾病によってその機能が低下し、転倒や要介護状態などの好ましくない健康アウトカム(結果)に結びつくため、早期からの医学的な評価と対策が必要である」と発表しました。ここで合わせて提唱されたのが、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群):通称『ロコモ』」という新しい概念です。
1994年、米国の権威ある医学誌に掲載された論文により、要介護の老人ホーム入居者(平均87歳)に下肢の筋力増強トレーニングを続けさせたところ、下肢の筋力が2倍になったことが報告されました。それだけでなく、自発的な身体活動量が30%増えたという結果も明らかにされています。
こうした研究をもとに、現在では「ロコトレ」というロコモ予防の簡易的なトレーニングが推奨されています。トレーニングは続けることで効果が発揮されるため、ロコトレは短時間・継続的に行える片脚立ちとスクワットの2つのみ。毎日無理なく続けやすいトレーニングメニューになっています。
留意点として、ロコモの治療では、骨粗しょう症、変形性膝関節症などの運動器疾患がみられる場合、それぞれの疾患の治療も合わせて行う必要があります。関節の痛みや炎症が気になる方は整形外科を受診し、主治医と相談しながらロコトレを行いましょう。
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